2010-01-01から1年間の記事一覧

『DBA』とミニュチュアウォーゲーム

超お手軽&本格ミニチュアウォーゲーム『DBA』 今回のAGSの更新は、こちら。 DBA(De Bellis Antiquitatis):上古の戦場にようこそ!: Analog Game Studies 蔵原氏による、ミニチュアウォーゲーム『DBA』のプレイレポートとなります。 『DBA…

対談感想その3

つれづれ 各段落のとりとめない感想。前後したり重なったりしています。 80年代シナリオ 岡和田: シナリオに話を戻しますと、箱庭RPGに興味がある人は、『ウォーハンマーRPG』の資料やシナリオ読むべきですよ。いや、本当に。 高橋: まあ……1980年代までの、…

対談感想その1

ウォーハンマーRPGとは AGSに、新しい対談記事が追加されました。 『ウォーハンマーRPG』リプレイ「魔力の風を追う者たち」ウェブ再掲記念;非公式対談――遊んでみて“改めて/新たに”わかった、会話型RPGの批評性: Analog Game Studies 今回は、『ウォ…

対談感想その2

予定変更 対談のテーマに関する感想を書いてたのですが、ちょっと気になるカ所があったので予定変更です。 『隠された宝石にまつわる諸事情』 岡和田: おっしゃるとおりですね。インターネットで無料ダウンロードできる私が訳したシナリオの中だと、『隠され…

グローバリズムとバランス

歴史教育の重要性 桃木至朗『わかる歴史・面白い歴史・役に立つ歴史』(蔵原大): Analog Game Studies AGSの蔵原氏の新しい論考です。 『わかる歴史・面白い歴史・役に立つ歴史』のレビューとして、歴史教育の重要性が語られています。 こちらのブログでも…

ローズ論再訪

門倉ファンタジーと忘却 門倉直人『ローズ・トゥ・ロード』: 21世紀、SF評論 前回は、WローズおよびTRPGの批評について書いたので、残りの部分に関する感想になります。 言葉と忘却 ファンタジーの幻想的な部分を言葉で直接語ろうとすると、幻想ら…

ローズ・トゥ・ロードと21世紀

以下は、岡和田氏の「忘れたという、その空白の隙間で−−門倉直人『ローズ・トゥ・ロード』」のxenothなりの読解と感想になります。 門倉直人『ローズ・トゥ・ロード』: 21世紀、SF評論 「21世紀、SF評論」に門倉直人論を書きました。 - Flying to Wake I…

伝統ゲームとアルゴリズム

要約 アルゴリズムはゲームの重要な部分だが、必ずしもアルゴリズムだけでゲームの面白さを語ることはできない。 伝統ゲームと現代 AGS様で草場氏の連載が、更新されました。 伝統ゲームを現代にプレイする意義(第2回): Analog Game Studies 今回は、伝…

フィリップ・セイビンのウォーゲーム授業

歴史学とウォーゲーム ウォーゲームを製作する歴史学の講義:フィリップ・セイビンの革新的試み: Analog Game Studies 今回の記事は、蔵原氏による、フィリップ・セイビン氏の授業の解説です。 http://www.kcl.ac.uk/schools/sspp/ws/people/academic/profes…

AGS新記事

概観 幾つか感想を書いている以外にも、AGS様の更新が行われております。 伝統ゲームを現代にプレイする意義(第1回): Analog Game Studies こちらは、タイトルにある通り、伝統ゲームを現代にプレイする意義についての連載です。 第一回は、軽く伝統ゲ…

魔術師と将軍のジレンマ

要約 目標を設定して達成する際に、戦略が必要とされる。 目標までのルートがはっきり見えている時には、順序的な戦略が立てられる。ダンジョンを1階ずつ制覇してゆくようなものである。 目標までのルートがよく見えない時の戦略は、累積的な戦略となる。敵…

ジレンマとTRPG

要約 ボードゲーム等は、ルールによる公平性が保障されている。 TRPGでは、ルール・システムだけでは公平性は保障されない。 GMの独断を権威として認めるのは、プレイヤーの信頼である。 解決不能なジレンマの提示は、信頼を裏切ることになるため、現…

TRPG:物語とシステム 神秘な魔法を求めて

ストーリーとシステム 前回の記事で書いたとおり、TRPGは、会話≒ストーリー部分と、システム≒ルール部分の二つの観点で捉えることができ、それらは時に対立、また補完しながらTRPGを作り上げています。 その二つの歩みを、今回は魔法の観点から見て…

TRPG:物語とシステム その1

要点 コンピューターによる、初期のTRPGの実装は、ストーリー、会話をシミュレートしようとするアドベンチャーゲームと、戦闘・システムをシミュレートするロールプレイング・ゲームに大きく分かれた。 そのことからもわかるように、TRPGの中で、会…

コンセプトから伝えよう

要約 何かを説明する時に、基本コンセプトから伝える方法がある。 手順としてはまず「相手が興味のあるコンセプト」を選ぶこと。次に、そのコンセプトに沿って、全体の説明を位置づけること。個々の説明においては、未知の概念の取り扱いに十分注意すること…

エベロンのグランドデザインについて

要約 エベロン世界は、科学+ファンタジーの世界である。 科学に代表される現代性、社会性と、冒険者が戦ってなりあがるファンタジー世界性を両立させるため、「戦後の混乱期」(具体的には、一次大戦と二次大戦の間あたり)を参考にしている。よって同時代…

没入と他者化

整理 AGSの齋藤路恵氏の記事を拝見しました。 会話型RPGにおけるメタ化: Analog Game Studies 興味深い内容で賛同する点も多いものでしたが、幾つか、自分の中ピンと来ない点がありましたので、xenothなりの整理をしてみました。 キーワードは「没入」と「他…

会話型RPGの面白さを理論的に分析する時に文句を言われないようにする方法

要約 理論を構築する際は散漫にならないように、方向性を設定する必要がある。 「何が面白いか」といった議論で価値的に中立な理論というのはありえないために、特定の理論は必ず何かの価値観を否定する側面がある。 理論に方向性を与え、他者の価値観を尊重…

岡和田さんへの異議

トラックバック 今朝方、 Analog Game Studiesへの感想、意見として TRPGと多様性とリアルリアリティ - xenothの日記 の記事を書いた時は、トラックバックを送信できたのだが、今見たら、トラックバックurlが表示されなくなっていた。 本記事もトラックバ…

感情移入のテクニック

要約 何かをわかりやすく説明するために、敢えて物わかりの悪い、頭の悪い視点を出して、そこに説明するという技法がある。 そうした「ワトソン視点」を出す場合、ワトソン=執筆者とするのが基本である。 ワトソン=読者で、ホームズ=執筆者とすると、読ん…

TRPGと多様性とリアルリアリティ

要約 TRPGの表現するリアリティには、現実的なものからご都合的なもの、幻想的なものまで様々なものが含まれる。 その中で、各プレイシステムや、各卓は、より面白い=遊ぶ価値があるリアリティを追求する。 その追求の中で、ある「リアリティ」を持って他の…

「初心者向け」の記事を書く時に陥りがちな間違い

要約 初心者向けの勧誘記事を書く時に、ついつい陥りがちなミスは以下の3つ。 悪い点を強調する 相手のほしい情報が載っていない 上から目線の説教 その原因は、それぞれ、 苦労自慢 知識自慢 経験者自慢 である。 人間は自慢したがる生き物であることを自…

賢ぶったバカとそうでない人を見分ける方法

要約 何かを説明する時に、完全に一から説明するのには時間がかかる際、既にある理論や学説、先人の言葉への言及、引用をもって説明に替えることがある。 この時、そうした理論を理解して使いこなせる人であれば、論旨の中で筋が通るような形で文章を引用す…

「ぼくのかんがえたTRPG」にならないために

要約 TRPGという言葉の指し示す範囲は非常に大きく、人によって受け取り方も様々に異なる。 よって「TRPGとは〜」と言った言葉を安直に使った場合、それぞれのTRPG観が違った状態で話すことになり、誤解や行き違いが起きやすい。 それを避けるた…

苦行主義とは何か

定義 TRPGにおいて、揶揄的に苦行主義と呼ばれるスタイルがある。 揶揄的な言葉なので厳密な定義があるわけではないが、「努力・苦労自体に価値を置くスタイルと、その押しつけ」あたりが、おおざっぱな意味だろう。 苦行主義はなぜまずいか? まず最初…

TRPGとキャラクター

老魔術師最後の舞台 こんな小説を読んだ。 引退していた老魔術師が、とある依頼で人生最後の華を咲かせるべく出動する。それを手助けする若者。老魔術師は、依頼の成功と引き替えに自らも命を落とす。 とても面白かったので、TRPGのシナリオにしようと思…

我々は思ったより大人ではない

要約 TRPGを含む創作上において表現されるキャラクターの思考力は、通常、本人よりも低くなる。 故に、「大人なら出来て当然のこと」が「TRPGの中では出来ない」ということがありうる。 これは別に恥ずかしいことではなく、そここそが出発点である、…

ルールシステムとその先にあるもの

想像力 TRPGはなぜ面白いかで、「TRPGの面白さは、参加者相互間の面白さである」と書いた。 TRPGのシステム自体や個々人の判断そのものが面白いのではなくて、それらから生まれる参加者相互のやりとりにこそ面白さがあるというものだ。 そこにあるの…

TRPGは何故パフォーマンスとメンツを重視するか

概要 TRPGは、プレイヤーおよびGMの行える幅が非常に幅広い。 その中で、全員が面白いと思うもの、不快と思わないものを選ぶことは、単純にルールで規定できない。 故に、TRPGにおいては、そのセッションごとに、それぞれの「卓の面白さ」「誰かの…

鏡さんへ

よりわかりやすい用語名を求めて 第一、誰がわざわざ「わかりにくくて判別しにくい」用語を使うものですか。著者は、これなら分かってもらえるだろう、と著者なりの「主観」で判断して、定義するのです。それが読者の「主観」とは異なっていたとしても、著者…