ラビットホール・ドロップスに求めること

要約

これまで上げてきた日記に基づき、ラビットホール・ドロップスに求めることをまとめました。

想定環境

Q1:伏見氏が「ラビットホール・ドロップス」をプレイする想定環境を明確にしてください。

 そんなRPGは面白い遊びというだけではなく、教育や障害者支援に有効ではなかろうか、と考えて行動している方々がいます。
 想像力を豊かにしたり、コミュミケーション能力を高めたりする効果、また自己実現による満足感を得ることにより、回復や成長の効果が考えられます。


 このゲームは、そのような活動に用いるために作成されたRPGです。
(中略)
 フリーエディションは教材、支援の場での利用を想定して配布されます。
RabbitHole Drops

 昨日の打ち合わせ話の続きをちらと。


 みなさんもご存知のとおり、昨今、特別支援教室(特教)の運用に変化があります。「冒険王道」(交流のあるプロジェクトです)のように、学校でTRPGが運用されるのはすでに冗談話や夢物語ではなくなってきています。特教のカリキュラムと、コミュニケーションゲームとしてのTRPGは非常に親和性が高いのです。


 ラビットホール・ドロップスはその中で一つの方向性を示したに過ぎません。私たちのプロジェクトは複合的なもので、まったく違った方向性のゲームも開発しています。
 「次の」ゲームは、夏季の支援に間に合うように、急ピッチで進行中です。ラビットホールは「親子の対話」を第一のターゲットとして、優しい雰囲気で遊ばれることを想定していますが、もう一つのそれは、学級の雰囲気、児童同士の無遠慮で予測しがたいコミュニケーションの現場運用を支援するゲームメカニクスが工夫されています


 参加者の適性の差は大きなもので、運用の場、遊びの場も様々です。
 実際に嗜好にあわせて多くのTRPGが開発されているように、選択肢が多く提供されなければ、TRPG支援という手法の有効性もまた証明しがたい、ということを私たちも強く意識しているのです。


 もう次の作品!? というのはそういうことです(^-^)。
http://www.facebook.com/RabbitHoleDrops/posts/115153445291469

ウェブページでは「教育や障害者支援に有効として活動するためのTRPG」とある一方、本日の更新では「ラビットホールは「親子の対話」を第一のターゲットとして、優しい雰囲気で遊ばれる」と書かれています。


「親子の対話」を第一のターゲットとしつつ、児童支援、障害者支援としても使えるということでしょうが、いずれにせよ、不特定多数に公開・販売した上で、「支援活動」を銘打つ以上、実際に支援に携わってる人、専門家の管理外でプレイされることは想定する必要があると考えます。

安全性

Q2:上記環境における安全性について、安全と思う根拠を明らかにしてください。


何度も書いていますが、経験のない普通のGMが、様々な障害者や児童に対して、「支援」をしようとTRPGをするのは危険です。
経験者の監督の下、相性のいい相手と遊ぶのであれば良い結果を残すこともあるでしょうが、そうした監督が得られる場以外で、あらゆるタイプの児童・発達障害者と円滑にTRPGを行えるわけはないでしょう。


だいたいうまくいくよ面白いよ、失敗しても良い体験だよ、で、済ますには、あまりにも危険な分野です。
GMが「支援」をことさらに意識するのも問題です。


そこにおいて伏見氏が、安全であると考える根拠を明白にしていただきたい。

専門家の意見

Q3:Q2について専門家の保証があるのなら、それを明白にしてください。


TRPGによる障害者支援については、すでに二人の専門家から、反対する旨が出ています。
私がTRPGをセラピーとして使わない理由: Analog Game Studies
AGS 記事「CBT的アプローチのセッション運営」は取り下げられるべきであると考えます: プレイレポートbyたきのはら


これらに対する反論がないまま、「ラビットホール・ドロップス」は進んでしまっています。
伏見氏は、「現場」や「研究者」との打ち合わせを経ているとおっしゃりますが、そうであるなら、そうした現場、専門家の名前と肩書きを明らかにしていただきたい。


私もハンドルネームで活動している身であり、実名を出すことを安易に要求するのはよくないと考えていますが、しかし、「専門家もついているので安全」という形でその権威を持ち出すのであれば、最低限、責任をとれる形としてでていただく必要があるでしょう。


もちろん、早瀬以蔵氏、滝之原氏の勧告を受け入れて方針変更するのであれば、専門家の名前を出す必要もありません。

今後の対応

Q4:Q1、Q2、Q3に問題があるのであれば、今後の対応を明確にしてください。


私としては、「ラビットホール・ドロップス」から支援に関する文言を取ることを推奨します。
ラビットホール・ドロップスの紹介とは別に、現状、このような研究を進めており、そこで「ラビットホール・ドロップス」も使っている。
ただし、それは経験者、専門家のいる場で行われることであり、現段階で一般のプレイヤーにそれを薦めるわけではなく、それは大変に危険な医療類似行為である、という形の付記を行うくらいでしょうか。


以上、どうかよろしくお願いします。