死にバラのファッキン・チップ

ファッキン・チップの機能

というわけで、せっかく話題にあがったので、「死に急ぐ奴らのバラード」を拝見。
以下の、web archiveから。
http://web.archive.org/web/20011103203058/http://www6.ocn.ne.jp/~sinibara/


今日、始めて知ったので、遊んだことも無かったのですが、確かに、面白そうですな、これ。
まず「ファッキン・チップ」について。
ファッキン・チップは、ゲーム中、他のPLに渡すことで、そこに書かれているロールを強制(義務と書いてある)できるカードです。効果は、ロールによって決まっています。
ロール内容と効果が結びついてるという点は、ガンメタル・ブレイズとの違いですね。


で、この効果が面白いものが結構あります。
普通に数値的な効果があるもの(「思わぬ幸運」サイコロの出目を3つ成功に等)が、まずあります。
次に、TORGからの流れとも言えるかもしれない、サブプロット誘発系*1。「恋の芽生え」や「秘密」「裏切りの予感」などです。
その他、今なら、シーン関連系*2とでも言うべきカード(「奴が来た」その場に登場 「スポットライト」そのシーンの主役になる)があります。
面白そうだけど、受けるのが大変そうなんで、覚悟がいりますね。そのへんの割り切りも含めて面白そうだ。

決断操作系

「決断の時」
迷ってる時間は無いんだよ。
答えを聞かせてもらおう!

迷っている奴に
決断をさせ
行動を促します。

で、予想できなかったのが、コレ。


俺の知ってるTRPGの文法だと、うまく分類できなかった機能です。
「愛ゆえに」「怒りの拳」「躊躇い」とかも、同様のカテゴリかな。
決断操作系とでも言うべきか。
(プレイしてないんで予断ですが)、TRPGでよくある、どっちにするか迷って固まるプレイヤーに「もうこれでいいじゃん、こっちにしようぜー」と問いかけるように使えるのかなぁと。
そういう意味じゃ、サタスペの性業値判定に近いかしら? あれも犯罪物だなぁ。

決断とシステム

「悩んでる人に決断を促す」ってのは、TRPGの悩み所でありつつ、敏感なところでもあります。
なんというか「安易にシステム的に解決したくない部分」であったりもするわけです。
そのへんで、かっこいいカードを、ぽんと渡す、というのは、手法として面白そうです。


ゲーム中の重要な決断に、他人が強制介入できるってのは、すごいシステムですが、「TRPGは、皆を楽しませるもので、PCもそのためにある」というコンセプトにおいて、成立しているんでしょうね。そこの徹底性が「死にバラ」のツボなのかなと。
ggincさん流に言うのならば、「PCは守る対象ではなく、皆を楽しませるトークンである」というのが、「死にバラ」の重要な設計理念であるということでしょう。
極端に言うと、自分のPCが、悲惨な目に遭うのを、皆と一緒に、ぎゃははと笑えるようなスタンスで遊ぶ、と。
運用も、そこを考えて行うとスムーズにゆく、のかなぁと思ったり(いやまだ遊んでないので)。

結論

カードに限らず、「悩んでる人の背中を優しく押すシステム」というのは、洗練させてゆくと、結構面白いと思いました。
俺があんまり気付いてないだけで、既存のシステムでも、「悩んでる人対策」はあるでしょうから、その観点で見直した場合にも新しい発見がありそうですね。
製作者および紹介者のggincさんに感謝。

*1:サブプロット誘発系によるアドリブセッションは、今のFEARだと、シナリオクラフトとかが後継ですかね。普通に決まったシナリオがあるセッションでサブプロットのアドリブ対応してくのは難しいんで、いっそ、全部、アドリブ前提で、という風にマインドセットした結果、シナリオクラフトになった、とも言えるでしょう

*2:このへんは言うまでもなく、FEAR系では登場判定やシーンプレイヤー・ルールで再現していますね。シーン登場や主役の概念が便利であるなら、カードとかで回数制限せず、いつでも使えるようにしていいだろう、という割り切りとも言えます。