TRPGのイノベーションについて

http://d.hatena.ne.jp/gginc/20091007/1254922646
こちらの記事に、以下のブクマコメントを置きました。

xenoth 「基本コンセプトに近しいものがあるとして、まず両方のゲームを遊んで、運用、位置づけの変化を調べるのが「批評」ではなかろうか? 「こんなに似てる! 業界進歩してない!」で終わらすのは印象批評だろう。 2009/10/08


それに対して、こちらの記事が。
http://d.hatena.ne.jp/gginc/20091008/1254983384
誰に反論してるかの主語がないのですが、xenothのブクマコメントに対するものとして、以下、進めます。

 業界批判としか読めてないのなら,相変わらず読めてない証拠。今回の文章は(というか,毎回そうなんだけど)「TRPGの受容者の側がシステムの優れた部分とどういう風につき合っていくか」が主題にある。

ブクマコメントなので、長くは書けなかったのだけど、gginc氏の記事の主眼*1が「業界批判」でないことは明か。ただし、主眼でないところで、業界批判しちゃってるので、そっちのほうが問題、ということだ。


つまり、はっきりと「業界はここが悪い」という批判ならそれなりに議論になるんだけど、「まぁ業界がダメなのは仕方ないけど」みたいな理屈で根拠無しに批判してるのは、かえってよくない。


どこがそうなのか?
以下の文章だ。

 8年もあれば,『死にバラ』と比較する必要も無いほどの,飛躍的なシステムのイノベーションを見たい,とも思いたくなるものです。しかし,サポートがいくら手厚く責任感があっても,システムの革新は相変わらず緩やかです。

ここでは、わりと簡単に「「商業TRPGの進歩が緩やか」というのを根拠なく言明している。根拠があるとしたら「「ガンメタル・ブレイズ」のシステムは「死にバラ」から進化していない」くらいのものだ。


確かに「死にバラ」が同人故にサポートがないことへの批判も別の箇所でしているが、それは上記の言明をなんら正当化しない。


で、本当に商業TRPGの発展は緩やかで、新しいアイディアが、ガンガン盛り込まれていないのか?
そんなことはない、と、俺は思う。


見渡しても、たいていのTRPGには、新機軸が盛り込まれている。
コンセプト自体は面白いけど、なんだかんだでコケちゃってすぐに忘れ去られるシステムが多いので、「生き残る新コンセプト」は、確かに少ないかもしれないが、それを見落とすのは、要するに、「死にバラ」が見落とされたことと同じだ。
売れ続けることと表現の新しさが別の評価軸であるなら、消えたTRPGの分まで新コンセプトの評価をすべきだろう。


さてさて、開発だけで突っ走る同人は、その分、イノベーションがしやすいかもしれない。
運用を見すえる必要のある商業は、その分、イノベーションが遅くなりやすいかもしれない。
ただ、「理論上なりやすい」と実際そうであるかは別問題だ。
言うまでもなく、批評というのは、既存の枠組みに乗っかって感想を言うことではなく、調査することだ。


本当に、「業界におけるシステムの革新は緩やか」なんだろうか?
それは、どのシステムを見て、そう言えるのか?
「ガンメタル・ブレイズ」と「死にバラ」が似てるのは、よくわかった。
じゃぁ似てないところはどこか?
なぜ似てないか?
時代の流れは、両者のシステムにどのような違いをもたらしたか?


そういうことを調べて書くのが批評だろう。
それをせずに「業界のイノベーションが遅い」と脇筋で書いてしまうのは、文字通り、脇が甘い。


確かに、gginc氏の論全体を「こんなに似てる! 業界進歩してない!」と約したのは不適当だった。
それは書かれてはいるが、本論ではない(記事読んでることが前提のブクマコメントだからそうしたんだけどね)。
であるならば、gginc氏も、「批評であるならば、まず「ガンメタル・ブレイズ」と「死にバラ」の比較を、きちんとするところから始めるべきだ」という私の本論に答えてほしい。

*1:で、主題ですが、結局、TRPGの受容者は、「ガンメタル・ブレイズ」や「死にバラ」のシステムの優れた部分と、どう付き合えばいいんでしょうか? 文章読み返してもわかりません。同人ゲームを、もっと評論しろ? それだけ?