バスタードTRPGを15分で設計する

データバランスとハンドアウトと今回予告?

さてさて、前回の記事で、過去、「ソードワールド改造バスタード」を作ろうとして失敗したと書いたら、紙魚砂さんから、コメントをいただいた。

>xenoth個人の黒歴史として「D&D改造ジョジョの奇妙な冒険」「ソードワールド改造バスタード」とかがあり、若いうちは暴走も失敗も経験の内よ、という意味では、個人的に暖かい目で見たいが、一緒に卓を囲む人のことも考えるべきだろう。

いや、ちゃんとデータバランスを取って、ハンドアウト&今回予告してプレイすればいいだけだと思いますが?

データバランスとハンドアウト、今回予告だけで何もかもできるなら、そもそもシステムが存在する意味がないだろう。
様々なシステムには、それぞれの意味があるのだ。
というわけで、バスタードTRPGを、ちょっくら考えて見る。

バスタードの特性

当時のxenothは、D&Dソードワールドくらいしか知らなかったし、TRPGの可能性自体について知らなかった。
では、時代と技術が発展した現在、バスタードTRPGを作るとしたら、どのようにするか?
なお、バスタードも長いので、前提として、闇の反逆軍団編〜地獄の鎮魂歌編あたりを再現範囲とする。
要は、ダーシュとガラやネイがパーティ組んで、アンスラサクスなりカル=スなりと戦うあたりだ。


バスタードTRPGで、バスタードらしさを再現する場合、考え方は色々あるだろうが、最大公約数として、ダークシュナイダーのキャラがあるだろう。
異様に強く、異様に傲慢で、どっか憎めないというキャラは、当時の少年ジャンプでは、新鮮だったし、以下に続くアーキタイプともなった。
当時のxenothが、ぼんやりと思ってた「バスタードらしさ」も、ダーシュがハーロイーンで、どかーんという線だったと記憶している。

特性の分析

さて、「ダークシュナイダーが異様に強い」問題は、つまり、パーティ間格差の大きいゲームということになる。
一般に多くのTRPGでは、同じレベルの、だいたい同じくらいの強さのキャラ同士が補完し合って戦うが、この前提が崩れるわけだ。
D&Dソードワールドは、通常、レベル10の魔法使いとレベル1の戦士がパーティ組んで面白いようには(レベル1戦士に見せ場があるようには)できていない。


原作のほうでは、では、どうやって脇役に見せ場を作っているかを検証しよう。xenothが見つけたのは、以下のようなパターンだった。


・ダーシュのパワーは、「闇の力」に反映する。世界が闇に包まれるほど、邪神も強くなり、ダーシュも強くなる。逆に言うと闇の力が弱い時は、そこまで強くない。
・魔法詠唱には、時間がかかる。ダーシュが魔法を唱え終わるまでの間に、他のキャラクターが時間を稼ぐ。


このへんをうまくシステム化できれば、TRPG化もできそうだ。

特性のルール化

「闇の力」で強くなったり弱くなったりするのは、ブレカナの尊厳値、ダブクロの侵蝕率等のようなシステムが存在する。このへんのシステムを参考にし、ダーシュと他のキャラクターで強さの変化率を変えれば、それなりに面白くできそうだ。
ダークシュナイダーは、侵蝕率(仮)の影響を大きく設定し、多すぎると、暴走したり邪神に取り込まれるというシステムにしておけば、序盤では、あまり活躍せず「ザコの相手はおまえらに任せた」というスタンスを取りつつ、ラスボスに大暴れ、みたいな展開になるだろう。
逆に、ガラやネイは侵蝕率の変動を少なくしておけば良いわけだ。


次に詠唱時間を巡る攻防だが、「3ラウンド守りきれば、こちらの勝利だ」というようなTRPGで、思い当たるのは、一つは、神曲奏界ポリフォニカRPGの、フォーカスシステム系のもの。
もう一つは、T&Tだ*1


フォーカスシステム系はシナリオよりであり、T&Tはシステムよりである。
フォーカスシステムならば、原作の大きな場面などを綺麗に再現できるだろう。
T&Tの場合、敵味方の打撃力が分かれば、敗北までのターンが厳密に計算できるため、戦闘ターン数を巡る攻防が、きちんと戦術として成立する。このままだと、2ラウンド目で戦士が倒れて負けるから無理を承知でバーサーク、とかである。大規模戦闘にも向いている。
またバスタードでは、呪文同士は互いに打ち消しあい、負けたほうが一方的に喰らうというルールがある。これも、打撃力を比べ合うT&Tの戦闘と、相性が良い(というかそのままである)。

とりあえずの結論

そんなこんなで、xenothが、バスタードTRPGを、今作るとすると
・戦闘システムのベースはT&T
・複数ラウンドかかる強力な呪文を用意。
・「闇の力」侵蝕率ルールを導入。
あたり、と、なるだろうか。
もちろん、これが最適という話ではない。なにせ15分で考えただけのものである。作ってやってみたら、全然ダメで捨てるかもしれないし、他にも様々な解釈、様々な実装がありうるだろう。


ともあれ、やりたいことからコンセプトを把握し、それにそってシステムを選択し、様々な無理や矛盾を考えながら実装する、という一例にはなったと思う。

*1:他にも色々あると思う。単にxenothが思いついた範囲という話である。