ゴールデンルールたびたび

紙魚砂さんとゴールデンルール

紙魚砂さんが、相変わらず、ゴールデンルール*1を勘違いされているようだ。
http://simizuna.exblog.jp/12915390/
紙魚砂さんの勘違いは2点。
1.ゴールデンルールは、GMに、プレイヤーを無視してルールを破る強権を与える。
2.ゴールデンルールは、ゲーム中にトラブルが起きた時のためのルールである。


1、2とも、ある意味では正しい部分もあり、完全に間違いではないが、根本的な勘違いがあるので、それについて説明して行く。

基本ルールとしてのゴールデンルール

ゴールデンルールは、通常のルール=法律に対する憲法のようなもので、より基本的なルールである。トラブル対策のためだけにあるルールでもないし、ルール破りのためのだけにあるものでもない。


憲法改正談義が始まる時は、通常の法律で対応できない状況の場合が多いのと同じく、ゴールデンルールをいちいち持ち出して議論することになる場合は、通常のルールを越えたトラブルであることが多い。その意味、トラブル対策のルールに見えないこともない。


ただし、憲法は別に改正のためにあるわけではない。通常の法律や行政の指針として存在する。
それと同じように、ゴールデンルールも、ルールやプレイング、マスタリングの指針として機能するものであり、それが本来の姿である。


さて、ゴールデンルールで定めていることは、GMの権限である。
ルールブック、デザイナー、GM、PLの意見と、ゲームの指針になるものはそれぞれだが、その中で、「セッションの間は」GMの権限を最初に置く、というわけだ。


考えて見れば、当たり前の話だ。
なぜなら、デザイナーを上位に置いても、ゲーム中に毎回、デザイナーを呼んで話を聞くわけにもいかないし、ルールブックを上位に置いたところで、そもそもルール解釈を巡って議論になるのがよくある問題なわけだ。
プレイヤーとGMが、という話なら、GMが権限を持つのが、一番、合理的だろう。

ゴールデンルールとGMの我が侭

無論、ゴールデンルールは「GMが好き勝手する権利を認める」ためのものでは、ない。
「これらの権限を行使するにあたって、GMはできるだけ正しいルールで遊ぶこと。加えて誰に対しても公平なルーリングを心がけてもらいたい」と最初に書いてある。


その上で、ルールの理解や運用に困難がある時に、「その場の雰囲気」と「プレイヤー有利」の原則に合わせて、ルールを変更する権限がある、と,書かれている。


これらの精神をきちんとそのまま運用するならば、「プレイヤーの意見を無視してルールを破る強権」は、少なくともゴールデンルールの理念ではないことが分かるだろう。
結果論として、プレイヤーからそう思われてしまう可能性はあるが、そうならないように努力することをゴールデンルールは定めている。

ゴールデンルールを批判する人とルールを読まない人

このへんは、普通にルールを読めば書いてあることなのだが、先入観で自分の都合のいい結論を出す人は、それらを無視して「ゴールデンルールはGMがPLの話を聞かずに好き勝手やり放題することに根拠を与えるからいけない」という。
そうでないのはこれまでに書いたとおり。


逆に言うと、そういう人もいるから、TRPGの基本的な理念「GMはルールを守ってプレイヤーをフォローする」「その上で最終的にはGMが決定権限を持つ」というのを、文章化して確認することが重要になるといえるだろう。

*1:ここではストリーテラーシリーズではなく、主にFEAR社のルールブックにおけるゴールデンルールについて取り扱う