紙魚さんの提唱するPvP型シーン管理

見たところ、特に現行のシーン制と矛盾があるわけじゃないんで、紙魚さんは、シーン制のゲームを、もっと遊ぶと良いと思いました。

悪意に強い

悪意に強い
 「シーン制」は公式にもしばしば「悪意に弱い」と宣言されるのをよく見ますが、「PvPシーン管理」は、悪意に非常に強いです。理由は

・そもそもPCが他のPCに悪意を抱くことを許可して、それをゲーム的に遊ぶための「シーン管理」だからである

で、「PvPシーン管理」では

・PCをシーンで隔離し、他PCがそのシーンに登場するのは困難になっている
・「秘密情報」を扱うことで、PLを情報的に隔離する

というテクニックが標準技術として使われます

私の意見では、PvPも、悪意に弱いです。
この時、問題なのはプレイヤーの悪意であって、「PCが他のPCに悪意を抱くのが許可」されてるからって、何の解決にもならない。
むしろ、PC同士が対立しつつ、PLが楽しく遊ぶほうが、通常、より気配りが必要とされるわけで。


本当にPLが悪意を持って、意味のない自殺とか、自分のストーリー/勝利条件等を追わないで、単なる自爆テロとかをされると、PvPでも、つまらんセッションになります。


……ま、それ言うなら、ボードゲームだって、チームスポーツだって、そういうプレイされると迷惑ですね。
根本的に悪意のあるメンツで、多人数ゲームをやることには、どうしても無理があるでしょう。

シーン登場の制限

シーン登場の制限
 「PvPシーン管理」では、PCのシーン登場を適切にきめ細やかに制限することが極めて重要です。

普通のシーン制のゲームでも、PCのシーン登場制限は行えますし、行われています。GMに最終決断権があり、シーンプレイヤーにも発言力があります。

情報隠蔽

<3>情報隠ぺい
 「PvPシーン管理」では、情報隠ぺいが極めて重要です、

「知らなければ行動を発想することすらできない」

ということで、対抗判定とかで抑止する以上の強烈な抑止効果があります。
(中略)
 で、「シーン制」では、情報公開が基本的なスタイルとなっており、そこが「PvPシーン管理」とは大きく違うところです(現状)。「シーン制」をイメージしている人とは、情報管理の点で衝突が発生しやすいですな。今回のセッションでは情報隠ぺいする方針か、情報公開する方針か、コンセンサスを取った方が良いでしょう。

シーン制が情報公開をするには、幾つかの理由があります。
まず、PLとPCの格差問題を埋めること。TRPGをやってて、PLは知ってるけどPCが知らない情報が出る場合というのは、よくあります。その時、「情報は知らないけど、なぜか/偶然/推理して」その情報を前提に行動するという頓知を効かせる場合があります。
そういうトンチを効かせるのは、ある程度は楽しいですが、ある程度から先は面倒だし、「そういうのは反則」とか言い出すと、また、どこまでがアリでどこからが反則かの線引きが大変に面倒くさい。


GM:キャンプで食事してると、ファイアーゴブリンが現れた
PL1:こいつの弱点は……確か、塩水だったよな(モンスターマニュアルを読みながら)
GM:いや、君のキャラクターでは、その知識はないはずだ。
PL1:じゃ、じゃぁ、えーと、咄嗟にパニックになって、水袋を投げるよ!
PL2:お、俺も、パンにかけてた塩を投げる!
GM:……おまえら、それはないだろー


……みたいなやつですね。


またセッション進行に関わる情報を、一人が持って他の人に行き渡らない場合、そこでセッションが止まりかねない。
あとは他PCの背景等は知っていたほうが、PLレベルで絡みやすいことが多いというのもありますね。
NPC1を、PC1が親の敵、PC2がかつての師匠、という設定の場合、PLとしては知っていたほうが、「最初、仲良く冒険していて、あとで、愕然とする」というストーリーとかをやりやすいわけです。


そんなこんなで、PC、PLの間の情報格差はなるたけ減らしたほうが、基本的には、みんな幸せになれるんじゃね? というものです。


で、もちろん、PvP的なセッションで、秘匿ハンドアウトを出すことは、シーン制でも普通にあります。この場合、PL,PCの情報格差はなくなります。セッションが進みにくくなる面はありますので、そこは工夫が必要ですね。

軽いシーン管理

 ・ただ「シーン制」の場合にはシーンの切り替えに重たいルール処理が発生して、簡単に切り替えられないことが多いように思われるので、あまり採用されてないようです。

たとえば、天羅WARでは、通常のシーンがあり、重要なシーンの合間に、GMが「幕間」というのを発生させます。
通常シーンが、軽いシーン。
幕間が重いシーン、という使い分けですね。
シーンにまつわるルール処理と、シーン切り替えの軽快さを維持する必要は、そういう方向で進化してきています。


一方で、シーンを切るのは、シーンの一個一個に意味、目的があることを共有し、無意味なシーンを無くす意味もあります。
シーン切り替えを軽くしすぎると、どうでもいいシーンが次々とつらなって、ゲーム自体が間延びしかねない。
なので、シーン切り替えには、ある程度の重さがあったほうがいい、という見方もあるわけです。