シミュレーション駆動とストーリー駆動(2)

シミュレーションと要素選択

当たり前のことだが、シミュレーションは「何を」シミュレーションするかが問題になる。


万物宇宙全てのシミュレーションをすることができない以上、「シミュレーションする対象」を、重要な要素としてピックアップし、シミュレーションに関係ない要素等は、コスト次第で省いたり単純化したりする。


例えば、史実のウォーゲームをやるとして、シミュレーションする対象は、戦争と、その推移である。そのために重要な要素としてピックアップされるのは、戦場、戦力、補給等々あたりであろう。
「たまたま戦場に住んでいたウサギ」は、通常、戦争の過程については、影響が少ないために、無視される。


また、その戦争において「天候」が重要な要素であるなら、天候も対象として入るだろう。
その地域の天候をシミュレートする場合、細かくやるのであれば天気図を書いて、海流と季節風を全部シミュレートして……となるが、そこまで細かくするのはコストがかかりすぎる。
たいていの場合は「1〜4なら晴れ、5で雨、6で雪」みたいな、単純化・統計化された処理をもってよしとするだろう。


・重要な要素なので細かくシミュレートする(軍隊の各ユニット)
・影響が少ない要素なので、軽視、無視する(戦場における動物等)
・それなりに重要な要素だが、細かくシミュレートしていられないので、統計的、大ざっぱに処理する(天候)


上記をまとめると、こんな感じである。

ストーリー駆動と要素選択

TRPGにおいて、「プレイヤーキャラクターの冒険」こそが、シミュレーションする重要な対象であろう。
プレイヤーについては細かくシミュレート(ルールを作り、ステータスを管理)し、それ以外は、大ざっぱとなる。
シティアドベンチャーする時に、PCのヒットポイントは厳密に管理するだろうが、街の全住人のHPをいちいち管理はしていられないだろうし、する必要もないだろう。


PCとその冒険を重視するという観点は、ストーリー駆動そのものである。


前項の記事では、シミュレーション駆動とストーリー駆動を対立するように書いたが、このように分析するならば、両者は同じ方向性にある。