ブクマコメントのお返事へのお返事

http://d.hatena.ne.jp/gginc/20080916/1221553925

 私が提示したのは結果だけではなく、克服するまでのその過程も含まれます。そして、それを克服するためには、私があの程度の短さの文ではとてもカバーしきれないほど緻密な、西村さんの先行研究(そして今回に関して言えば、Vampire.Sさんの知見)が必要だったわけです。


 そうした議論を参照する者としては、それを省いて結論だけを提示する、ということはむずかしいものがあります。これは、できるだけ簡単に書こうという思いと拮抗するほど、「引用することの礼儀」のようなものが含まれます。私は作法上、引用することの礼儀を失してまで文章を書くことができません。

先行研究への敬意と礼儀を示すのは大切と思います。
ただ、それを示すために「問題意識→悩み→参照→解決→結果」という書き方を細部まで進めた結果、かなり筋が追いにくくなっていると感じます。


このへんを整理すると「根拠→論理→結果」という流れになります。


学術論文においては、まず、冒頭に、self-containedなアブストラクト(要約、梗概)を提示し、「根拠→論理→結果」の流れを明確にしますね。それによって論文の構造が理解され、より細かい内容、過程への理解にも結びつくわけです。


こういう整理は有害かどうかですが、ともすると答えだけ聞いてわかったつもりになるような人を作ることにもなります。でもまぁ、だからといって、わかりやすいアブストラクトを削ればいいというものでもないはずです。


「議論の過程を省略せずにきちんと書く」ことや「先行研究からの引用を明らかにする」ことは、「整理された根拠→論理→結果の流れをきっちり示す」こととは両立するのではないかと考えています。


もちろん日記の記事に学術論文の構成や態度を求めるのは間違いだし不毛なので、16日の記事でxenothなりの理解をまとめてみました。
http://d.hatena.ne.jp/xenoth/20080916/p1
これは「根拠→論理→結果」の部分に偏っているので、結論に至るまでの論理展開にはなるべく注意を払ったのですが、ggincさんが大切にしている問題意識の部分が丸ごと抜けてる可能性があります(というか抜けているでしょう)。
一つの読解として見ていただければ(あるいは意見をいただければ)幸いです。


で、問題意識の部分を切り捨てたのは、ggincさんの考えられている問題意識が、今一つ、共感、理解できていないというのがあります。


例えば、虚構文についてです。
人は、様々な資料や書簡を集めてコナン・ドイルの人生や性格、行動を研究する。
同じやり方で、シャーロック・ホームズの人生や性格、行動を研究する。
ggincさんの理論によれば、後者は「虚構文」であって、真偽が判定できないことになる。


ただ、これってのは、直感的には変だ。


人は、現実の情報を処理するのと同じやり方で、架空の情報を処理することができ、それらを経験命題として処理して真偽を語ることができる。
だからドイルの分析とホームズの分析が同じようにできる。
TRPGでやってることも、それの延長ですね。
そこのどこに問題意識を感じるのか、また、それがどのように西村氏の議論で解消されるのか。イマジナリーボードの分析において何が障害になったのか。
文章は熟読したつもりですが、まだ理解できていません。


まぁ問題意識というものは、ある人に大切なものが別の人にどうでもよかったりするので、これも、そういうものかもしれませんね。
ただ問題意識が共有できない私であっても、「根拠→論理→結果」の部分は価値ある論考と思いました。