役割分担と演技は対立しない

ロールプレイは演技するという意味です
http://d.hatena.ne.jp/xenoth/20071216/p1
にも書いたが、TRPGのRPGを、役割分担と訳するのは完全な間違いである。その元々は馬場氏の論考にある。


にも関わらず、よくTRPGの論考やら、議論やらでは「役割分担派」「演技派」といった分類が存在したり、そのどちらを上位に置くか、という話が多い。


これについては、id:ggincさんが
http://d.hatena.ne.jp/gginc/20071223/1198393681#seemore
で書いている通り、馬場氏がゲームの邪魔にならない演技を否定したわけでもなく、また、世界観の解釈としてのキャラクターの把握は肯定していたわけで、氏の議論が誤解されて伝わった面も大きいわけだが、まぁ現状、「役割分担」と「演技」が、あたかも対立する価値観のように語られていることは多い。


それはともかく、普通にプレイする限りにおいて、これらは対立する軸ではない、というのが私の感想だ。「演技」を重視するとして、ルール、システムパートを無視してまで演技を押しつける人はいまい。「役割分担」を重視するとして、キャラを楽しく演ずるのを否定する人もいまい。


であるなら、それは、「TRPGの中に共存する異なる楽しみ」*1に過ぎない。それぞれの楽しみを追求しつつ、かつ、周りに迷惑をかけないように心がければいい。


つまり、演技を重視視するあまりルールを無視する人がいたら、「演技重視を貫くという価値観」を「役割分担を基本とする価値観」で論破するのではなく、単に「それだと君は面白いかもしれんが、他の人がつまらないだろ」と言えばいいだけのことだ。
「キャラシーに絵を描くのは楽しいことだけど、ゲームが始まってからも絵に没頭しすぎて、人の話を聞き忘れるとかは良くないね」というのと同レベルの話だ。


もちろん極論として、「TRPGは演技が面白いんだからルールなんか無視したっていい」とか「役割分担によらない演技は邪魔だから切り捨てろ」という論を語る人はいる。


ただ、これは、思想というよりはレギュレーションの問題ではないかと思われる。


「演技のためにルールを無視してよい」と思うなら、そういうシステムを選ぶか、そういうセッションであることを公知して人を集めるべきだ。逆に、普通のD&DやFEARゲーで「演技でシステムを無視させろ!」とねじこむのは、単なる困った人だろう*2
逆もまた然り。


そうした方向性をつきつめることで、面白いTRPGの形が見られるなら、それはそれで面白い。そうしたTRPGシステムを作ってみればいいと思う。
ただそれは、今他のシステムで遊んでる人に迷惑をかけないでも追求できるだろう。


結局のところ、それらは対立軸ではないし、対立する必要もないのだ。

*1:うまくやれば、相互に高め合う楽しみでもある

*2:細かいことを言うと、TRPGでは明確なルーリングがない部分をGMが即興で判定することはよくあり、そういう場面で、それまでの演技やノリが影響することがよくある。結果「演技がシステムをオーバーライド」する例は、大抵のゲームで、セッション中何度かあったりする。ここで言ってるのは、まぁもっと極端な例と考えてほしい