演技って面白いよね

http://d.hatena.ne.jp/gginc/20071223/1198393681
id:gginc氏の日記の考察。

 TRPGはあくまで、ゲーム的な思考と、創作文芸的な解釈プロセスの両方の〈意志決定〉を楽しむものであり、出力結果としての「表現」の巧拙を過剰に評価するものではありません。私が今回のエントリで「ゲーム的目標」と「文芸的解釈」を等しく尊重したのはそのような背景に基づくもので、そこから「表現」の巧拙は注意深く除外されています。
(中略)
(もちろん、そのシチュエーションに相応しい「カッコよい台詞」は言っても構いません。しかし、必要以上に「演技」に注力して周囲の失笑を買ってしまうよりは、無理をせず淡々と言った方が、TRPGがより広く、大勢の人に楽しまれる遊びとして発展していくには適切だろうということなのです。演技がうまくいかなかったからといって、プレーヤーが「解釈」に費やした〈意志決定〉の価値や、それによって生まれるキャラクターの行為のリアリティは、なんら変わらないはずです)。

TRPGをする際、無理して演技をする必要がない、というのは心から賛同する。
ただし、演技もTRPGの楽しみの一つであることも、また、確かだ。


そもそも解釈と表現は不可分である。頭の中で何かを思っても、それを言い表せなければ意味がない。表現の巧拙は、TRPGをやる際において、非常に重要だ。
GMやプレイングの巧拙に、表現力、描写の力というのは確かにある。
表現力があって描写がうまい人とゲームをやると楽しいからだ。
そう思いませんか?


表現の方法論はたくさんある。
行動、心情、あるいは周囲の状況も含めて言葉で描写すること。
セリフとして表現すること。
セリフなどに情感を込めること。
それら全部がリアリティを増す手段である。
「キャラクターの行為のリアリティ」は、それらで大きく変わってくる。


演技を過剰に否定する人は「恥ずかしい」とか「気持ち悪い」ということを良く言う。
聞いてて気恥ずかしかったり気持ち悪いのは、失敗した演技であって、それは演技が悪いのではなく、演技がうまくいってないのが問題なのだ。
俺も男性プレイヤーの裏声女性演技が気になることはある。一方で、それが気にならないプレイヤーもいる。そういうことだ。


演技や声芸に自信がなければ、言葉による描写や説明に傾注すればいい。
なお言葉による表現も同様で、やたら長くて誰も聞いてないような長広舌、形容詞過剰な表現とかが優れているわけではない。
自然に、適度な量でツボを押さえたセリフなり描写なりが、基本的に望ましい、ってのは、まぁ、表現の本を読めば書いてあるだろう。


話がずれた。
TRPGにおいて演技を強制するわけではないが、TRPGを面白くするための表現の一貫として演技や声芸は、あって損はない。
なにより、演技は、楽しい。
もちろん、自分だけが楽しくて周りに迷惑である可能性には、常に気を巡らすべきだ。ただ、これは何も演技だけに限らない。


演技にどこまで重きを置くかは好みの問題だ。
ただ、それは、好みの問題であって、TRPGのシステム全体の理論において否定するようなものではないはずだ、というわけだ。

誤解のないよう繰り返しますが、これは特定のシステム批判ではなく、TRPGの課題として相応しくない「身体的能力に依存する表現の問題」なのです。

身体的能力に依存する表現を強制するのは問題だが、優れた身体的能力を使いたい人が使って面白くするのは何の問題もないだろう。
「ゲーム」として見た場合、不公平であると言えるかもしれないが、別にそこはゲームとして競争しているわけではない。
隣のプレイヤーやGMが、プロの声優だったとして、他のPLが困るというわけではなかろう。