エクリプス・フェイズ〜人類を災厄から救うのは君だ!〜

AGS様で新しい更新がありました。
『エクリプス・フェイズ』(Eclipse Phase):さぁ黄昏の未来世界にようこそ!: Analog Game Studies
Posthuman StudiosのRob Boyle作成のSFTRPG『Eclipse Phase』(以下、『エクリプス・フェイズ』)です。
大変面白そうなTRPGでしたので、xenothも早速見てみました。

ポストヒューマンとシンギュラリティ

SFTRPGといっても、SFには様々なものがありますが、『エクリプス・フェイズ』は、中でもポストヒューマンおよびシンギュラリティ・テーマを扱っています。


シンギュラリティというのは日本語でいうと特異点。技術の発達が、ある点を超えたことで、人類社会や人類そのものを大きく変化させてしまった世界を意味します。
ポストヒューマンというのは、「人類の後継者」。シンギュラリティな技術の変化によって、人類自体が今の生物から違う形に変化してしまった存在を描く世界です。


ポストヒューマンものでわかりやすいのは、『攻殻機動隊』シリーズでしょう*1
中でも『攻殻機動隊2 MANMACHINE INTERFACE』が、一番ポストヒューマンな話でしょう。サイバーウェアが発達し、肉体そのものが交換可能で、意識自体をコピーし、分散することさえできる世界。
攻殻』は基本的に地球の話ですが、『エクリプス・フェイズ』は、太陽系全土の話なので、それ+スペオペな感じですね。


要するに、遥かな未来、ネットワーク技術やAIの発達、ナノテクノロジーその他の進歩で、人類も社会も、全く新しい変化を遂げた、そんな世界を遊ぼうというものです。

で、結局、何やるの?

全く新しい未来社会でTRPGを!
……というのは簡単ですが、遊ぶのが簡単でないのは言うまでもありません。


TRPGというのは、皆で、世界を共有するゲームです。
異世界もののTRPGが、異世界であればあるほど、共有は難しくなります。
世界設定の記述を細かくしても、それはそれで解釈の違いが出ますし、そもそも、膨大な世界設定を全部読み込まなくてはならないのでは敷居が高くなってしまいます。
その世界で何が起きて何が起きないか、何がアリで何がナシかの共有ができないと、TRPGのプレイには様々な支障を来たします。


故に、遊べるTRPGの場合、うまく共有するための様々なギミックが存在します。
まず、一番簡単な質問から行きましょう。
「エクリプス・フェイズ」って何をやるTRPGなの?


さて初めて遊ぶTRPGで、骨子をつかむコツですが、「重要なことは大きく書いてある」というものがあります。
ルールの表紙や、最初のほうのページなんかが狙い目ですね。そこに、TRPGの要旨が書かれていることが多いです。
『エクリプス・フェイズ』では、以下の表紙のキャッチフレーズがそれにあたります。

君の精神はソフトウェアだ。プログラムしろ。
Your mind is sodtware. Program it.

君の肉体は入れ物だ。変えろ。
Your body is a shell. Change it.

死は病だ。癒せ。
Death is a disease. Cure it.

滅亡が迫っている。対抗しろ。
Extinction is approaching. Fight it.

この「滅亡への対抗」こそが、『エクリプス・フェイズ』というTRPGの基本的な目的となります。

Firewall

『エクリプス・フェイズ』の世界は、AIの暴走(およびその背後にあるかもしれない異星文明の干渉)によって、地球の文明が一度崩壊した世界です。
文明は様々に復興を遂げましたが、暴走AIの遺物や、様々な危険技術が常に発展をおびやかしています。


ここまで言えばわかると思いますが、ファンタジーTRPGでお馴染みのアレですね。
超古代遺跡の謎の遺品が起動して世界を滅ぼそうとしている!
頑張れ冒険者! というやつです。
『エクリプス・フェイズ』はTRPGなので、様々な遊び方ができますが、基本的なセッティングは、Firewallという秘密結社の一員として、様々な世界の危機と戦うというものです*2


キャンペーンの基本は、Firewall*3の一員として、あるいは依頼を受けて、世界の危機の焦点となる場所に乗り込み、プレイヤー達は己の知恵と技で、様々な方法で、その危機を封印するというストーリーになります。


Firewallは分散的な組織で、その構成員は太陽系中に散らばっています。
そして様々な任務に応じ、それに適した能力を持つ構成員(センティネル)が召喚されるという設定です。
これは、TRPGとしては大変に優れたギミックです。
まずGMがプレイヤーの能力にあったシナリオを作る、ということの設定的な裏付けとなります。
と同時に、プレイヤーが作る、様々なキャラクターを受け入れる役目も果たします。
この設定なら、たとえば「マフィアが秘密裏に発掘兵器を密輸しているらしい。接触してその意図を探れ」といった任務のために、マフィアに顔がきく犯罪者キャラクターと、捜査の得意な警察キャラクターが呼ばれる、といった導入が問題なく行えます。


犯罪者と、警官が一緒に冒険するのは不自然?
そんなことはありません。
なにせ、Firewallの敵は、常に「人類の危機」*4なのです!
互いに憎まれ口でも叩きながら、協力するロールプレイもできようというものです。


たとえばクイックスタートについているサンプルシナリオは、禁断の発掘兵器を巡る攻防戦です。ゲーム開始時、プレイヤーは、Firewallのセンティネルとして貿易船の乗客として乗り組んでいるところから始まります*5
これが、様々なシナリオの基本形となるのでしょうね。


Firewallに属さない形で、あるいはFirewallの任務以外のセッションも、もちろんフォローされています。
ただ、どんなRPGもそうですが、基本形、コンセプトを理解してから応用を遊ぶのと、ただなんとなく「何でも自由にやっていいよ」と言われて遊ぶのとは全く違うものです*6
Firewallの設定は『エクリプス・フェイズ』の中核にあり、切っても切れないものといえるでしょう。


まとめ:
エクリプス・フェイズのPCは、Firewallに所属し、未来社会で様々な背景や思想信条を持ちながら、互いの違いを乗り越えて、人類の危機を救うために団結する英雄です。

エクリプス・フェイズの世界

エクリプス・フェイズの世界は、その名(エクリプス=日食、月食などの食)が示すように、明暗が入り交じったものです。


『The Fall』と呼ばれる大破滅の記憶と被害は残りつつも、人類は様々な形に進化して、太陽系全土に生命圏を広げています。


ワープ技術に属するものはないため*7惑星や衛星の生活圏は膨大な距離によって隔てられ、無数の小さな都市(コロニー)が多数存在しています(=GMは好きなコロニーを冒険の舞台として設定できます)。


小さなコロニーの中には、独裁的、閉鎖的で、民衆が抑圧されているコロニーもありますが(=格好の冒険の舞台)、その多くは技術による恩恵を受けています。


どういうことかというと、『エクリプス・フェイズ』では、ナノテクノロジーとロボットが発達しているため、基本的な衣食住や、単純労働にはほとんど困らなくなっているのです。
ナイス未来!


法体系などはコロニーごとに様々ですが、証拠の尊重は基本的に浸透しています。また科学捜査が現在よりさらに発達しており、公共空間はおおむね映像や音声の記録が取られているため、犯罪はわりとバレやすいようです。
思想的、宗教的な習慣によるタブーや罰はありますが、これらは旅行者には適用されず、そうしたタブーを犯した場合は国外退去を求められる、というのが一般的。


サイバーパンクにつきものの企業体、ハイパーコーポ(超企業)も存在し、直轄地を持っていたりします。そこではハイパーコーポの権力は強大ですが、議会もきちんと存在します。ハイパーコーポは、都合の悪い議会の決定を握りつぶしたりもしますが、ある程度の賛成多数の議決については、それなりに妥協点を見つけてゆくとあります。


そんなこんなで、例外もありつつも、おおむね平和で理性的な世界であるようです。

エクリプス・フェイズの経済

細かいことになりますが、エクリプス・フェイズの経済について、もう少し。
先ほど書いた通り、ナノマシンとロボットの発達で、経済の基本的な原理が大きく覆っているため、『エクリプス・フェイズ』の経済は独特のものとなっており、地域やコロニーによって異なっています*8


まずは『旧経済』。いわゆる資本主義です。お金で物を買う経済ですね。これは『エクリプス・フェイズ』では完全に時代遅れになっており、一部の閉鎖的なコミュニティのみで行われています。そこに住んでいる人も、好きで住んでいるのではないという場合がほとんどです。
『旧経済』においては、未だに飢餓や貧困、ホームレスなどがそれなりに存在します。
社会学者によれば、(さらなる災害などがなければ)『旧経済』は、2,30年で(一部の強権的な国を除き)消滅するだろうということです。


そして『新経済』。
ナノマシンアセンブラが公共に解放され、国民は(一定範囲で)好きなものを幾らでも作ってよいという、SF的な社会です。
もちろん限界はありますが、ひとり分の衣食住は遥かに越える量(例としては食料なら6人分、服なら数十着を毎日作れる量)が与えられ、「ポスト欠乏社会」なんて呼ばれています。もはや貧困や欠乏は存在しないのです!
こうした新経済は、選ばれた一部のエリートのものではなく、人口の40%を占めます。
さて、新経済では衣食住の心配はありませんが、それでも、貴重品は存在します。個人のサービスなどは、無限にコピーできるものではありませんものね。
そうした時、お金がないなら、何で支払うのでしょう?
答えは、「評判」です。


現実社会でも、ネットワーク文化が発達した結果、従来の広告や大企業の独占が徐々に薄れ、口コミなどをベースにした価値基準が出来上がりつつあり、ツイッター経済なんて呼ばれたりしています。
そこでは、ブログやツイッターで面白いこと、役に立つことを書く人間が影響力を増し、そうした人とはみんな協力したいから、結果、様々な資源が集まってくるというわけです。


ツイッター経済的なものは現実においては、どうしても様々な限界があるでしょう*9が、ナノテクノロジーやロボットが全面実用化された未来ならどうでしょうか?
全ての人がオンラインに接続され、行動や発言がリンクした社会なら?
そうした傾向がより強化され、資本主義に取って代わることさえあるでしょう。
それこそが『新経済』です。


そんなわけで『エクリプス・フェイズ』では、キャラクターの「評判」が、重要なリソースとなり、これはルール化されています。様々な購入判定やその他社会的な行為が、「評判(Rep)」で行えるのです。Repは一種類ではなく、社会ごとに様々なRepがあります*10
セッションの結果で、特定の社会で評判が上下することでRepも変化し、社会的な影響力が上下するわけです。



残りの世界は『移行経済』と呼ばれます。これらは、ナノマシンにある程度アクセスはできるけど、基本的なものしか作れない。資本主義的なクレジットも使えるが、Repでも買い物ができる、といったものです。ここにおいても、基本的な衣食住は保証されています。


未来社会の良い面を書きましたが、一方で暗い面もあります。
地球の破滅の際、多くの人類が避難を行いましたが、体を持って避難できた人間はごく稀でした。ほとんどの人間は、単なる人格記憶データとして避難されることを余儀なくされました。
こうして、数百万の情報体難民が生まれました。彼らの中には様々なコネクションや卓越した技能で、現実世界で動くための肉体を勝ちとり、社会的な立場を得たものもいますが、多くは情報体のままです。
そうした難民は、肉体を購入するために、様々な危険任務を引き受けざるを得なくなりました。
AIの大暴走が起きたことで、『エクリプス・フェイズ』の世界ではAI技術は強く制限されています。かつてはAIが行っていたような作業を、情報体難民が代わりにさせられるといった搾取が起きたのです。
まともに働くことで資金を貯めて、ボディを得るものもいる一方で、悪徳業者に騙されて不利な契約のもとで搾取され続ける難民もいるようです。


経済部分の話で、長くなってしまいました。世界設定は、この他全体的に様々に楽しく、ディティールがあるもので、読んでいて飽きません。

基本システム

世界観は、こんなところで、次は基本システムです。
まず判定方法はパーセンタイル。1D100で、スキルの値以下を振れば成功というものです。ゾロ目の場合、成功していればクリティカル、失敗していればファンブルとなります。
ゲーム中、Moxie(元気)ポイントを使うことで、ある程度、ダイス目を操作できます(不利な修正を取り除く、振ったダイス目の十と一の位を入れ替える、成功度を上げる、等)。


キャラクターメイクは、まずエゴ(精神)とモーフ(肉体)に分かれます。
なぜ分かれるかというと、この世界は、精神がデータ化可能で、肉体は、ただの乗り物だからです。


エゴは、背景と所属勢力を選び、それによってスキルや所持物品が決まります。
次にキャラクターの動機となるものを3種類決めて書きます。
探検や芸術的衝動、栄光、各種社会運動等々が例にあります。


ゲーム中に、こうした動機を満たすことで、Moxieが回復し、セッションクリア後の経験点が増加します。
様々な価値観と複数の出自のキャラクターが一緒にゲームをする仕様なので、こうしたロールプレイ支援システムは、Firewallの設定と同じく有り難いものですね。


動機を決めて、各種スキル等の調整をしたのち、モーフのほうは、ポイントで購入します。様々な外見、機能のモーフがあり、中には非人形や、完全機械型、動物系、魚系、昆虫系モーフ(タコ、蟹型モーフとか蜘蛛型モーフとか萌えません?)等々、盛りだくさんです。

参考資料

巻末*11には、様々な参考資料が載っています。その中から、今回の紹介に絡んだものを紹介。
まず、『新経済』の参考になる、以下2作。

マジック・キングダムで落ちぶれて (ハヤカワ文庫SF)

マジック・キングダムで落ちぶれて (ハヤカワ文庫SF)

ツイッターノミクス TwitterNomics

ツイッターノミクス TwitterNomics

前者は、信用・評判を通貨とするウッフィーを登場させた小説。
後者は、実際にツイッターで成功させた様々なビジネスと著者の体験を元に、そのウッフィーが、今、この現実で機能しているることを示したビジネス書。
現実の経済の話として見た場合、そこまでうまくいくのか、という点はありますが、未来を垣間見せてくれるという点では楽しく読める本です。
ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

宇宙消失 (創元SF文庫)

宇宙消失 (創元SF文庫)

ポストヒューマンSFといえばこの『ディアスポラ』。
30世紀における人工知性の誕生、覚醒から始まって、人類は進化と変遷を重ね、六次元宇宙から、さらにその先まで、離散(ディアスポラ)してゆく500ページ!
もはや誰得という話ですが、何事も誰得なとこまで突っ走ってこそ醍醐味が見えるものです。
『宇宙消失』は、より人間的な、N◎VAっぽいサイバーアクションサスペンス……と思わせて、中盤から終盤に、ブッチギりの大ネタが炸裂する作品で、こちらもお薦め。

刺激が強いことは、不快に耐えることは、感動ではない

ポストヒューマンSFには、様々な問いかけがあります。
もし人間が不老不死になったら、どんな社会が築かれるか?
その時、宗教や文化はどうなるか?
もし人間の性別が、服を着替えるように選択できるようになったら、文化はどうなるか? 個人はどうなるか? 人種はどうなるか?


こうした問いかけは重要です。
一方で、TRPGとして遊ぶ時は、その問いかけに答えを出し、かつ、共有することが必要となります。こうしたデリケートな問題について答えを押し付けることは時に強い精神的な暴力、虐待にもなりかねません。
それについては、著者は以下のように書いています*12

プレイヤーへの挑戦

『エクリプス・フェイズ』は、破滅的なトラブルとのしかかる危機の時代を舞台としている。作中の事実やコンセプトは、一部のプレイヤーにとっては強すぎる刺激だったり、さらには不快だったりするかもしれない。それぞれのゲームグループにおける基本的な問としてあるのは、プレイヤーが安心して受け止められる挑戦は、どれくらいのものか、というものだ。人の好みが異なる以上、これに対して単一の答えは存在しない。カルチャーショックや、善悪の混乱、グレーゾーン、様々な難しい倫理的選択こそを好むグループもいるだろう。そうしたグループは、ゲームの用意する、倫理的、知的な闘争こそを好み、ひたすらに難しい、そして興味的なジレンマに出会った時に、もっとも幸せとなるだろう。別のグループは、知的な遭遇や、戦術的、戦略的な挑戦を好みつつ、過酷な勝者なしの状況や、プレイヤーの地雷を踏まない範囲でのロールプレイを楽しむものもいるだろう。そして、その二つのプレイの間に無限のプレイスタイルがあり、万人に当てはまるプレイスタイルは、そのどこにもない。あなたのキャンペーンにとって重要なのは、あなたと、あなたのプレイヤーにとっては、どれが良いかということだ。
 このことをプレイヤーと話す時は、ショックの強さは、テーマの深さ(Maturity)とは関係しないことを覚えておくこと。たとえば映画でスプラッタを求めるのは大人の男女よりもティーンエイジャーである。シェークスピアの『あらし』は、ハッピーエンドだからといって、『マクベス』に比べて子どもっぽいということはない。苦痛に耐えることと、深い感動を得ることは混同されがちだが、この二つは全く違うものである。耐えることとはこの場合、プレイヤーが、生々しい不快感の描写をどこまで受け止められるか(あるいは自分で発信するか)であり、深い感動を得るとは、ゲーム中で起きたことから、プレイヤーが自分なりに洞察を得ることである。あなたやプレイヤーが、ゲーム設定の中の暗い部分について、詳細まで描写するのでなく、暗示するようにとどめたとしても、自分たちが弱虫なのだなどと思う必要はない。重要なのは、ゲームを遊んで満足することであって、おぞましさや難解さを極めることではないのだ。逆もまた真である。多ければいいというものでないが、別に少ないのが正しいわけでもない。プレイヤーが本当に好むなら、そうした描写にこだわってもいいだろう。ゲームマスターとしてのあなたの仕事は、プレイヤーがどんなものを好むかを知り、自分も満足できる形で、プレイヤーを満足させることだ。
 その上で、プレイヤーから明白な許可をもらった場合以外は、絶対に使うべきでないテクニックがある。それは、プレイヤーの現実における恐怖やトラウマを利用することだ。たとえば、プレイヤーの一人が、本当に蜘蛛が嫌いなら、蜘蛛形のロボットやモーフを出すことで、そのプレイヤーを怖がらせることができるだろう。だが、それが不意打ちで登場して、プレイヤーの現実での恐怖を呼び覚ましてしまった場合は、そのプレイヤーのセッション、キャンペーンにおける楽しみを台無しにしてしまうだろう。一部のプレイヤーは、そうした弱点を使われることに寛容だし、一部はそうではない。どのような状況においても、明白に話しあった場合以外では、人の弱点をつついて遊ぶべきではない。
(p386-387)

私もSFは大好きな上で、こうした問題が起きやすいことも覚えておきたいと思います。


『エクリプス・フェイズ』は、確かにさまざまにエグい世界設定でもありますが、その全ては楽しく遊ぶためにあるものであって、現実のトラウマや恐怖を弄ぶためのものではない、というのはここに確認しておきたいと思います。

究極のルール
『エクリプス・フェイズ』において、他の全てのルールに優越する究極のルール。それは「楽しむこと」。つまり、ルールでゲームの面白さを邪魔させてはいけない。ルールが気に入らなければ、変えること。見つからなかったら自分で作ること。ルールの解釈でもめたら、コイントスでもして決めよう。ゲームの流れやムードをルール談義で遮ってはいけない。
(p114)

*1:『エクリプス・フェイズ』巻末の参考資料にも『攻殻』は載っています。漫画、映画、SACも全部です。日本の作品だと、他には『プラネテス』(幸村誠)もありました。

*2:ルールブックp22 What Do Players Do? Default Campagin

*3:秘密組織であり、その存在自体が一般には知られていません(一部の有力者や敵対者には知られています)。

*4:Existential risk。全面核戦争などの、人類それ自体の存在(Existence)に関わるRiskを示す用語です

*5:シナリオ中では兵器の暴走が食い止められなくなりそうだとPLごと砲撃したりもしますが、任務の途中で死亡すると、無料で予備のボディで生き返らせてくれる親切な組織です。

*6:Firewallは、例えば『ダブルクロス』におけるPC組織であるUGNですね。応用としてファルスハーツとして遊ぶこともできますが、解説記事としては「どんな立場でも遊べるよ」ではなく、「UGNとしてファルスハーツと戦う」となるわけです。

*7:人格をデータとして電波で送ることはできるので、送り先にボディを用意しておけば、事実上、光速で移動できます。

*8:p61 The Economy

*9:ソフトウェア的なものには影響が大きいでしょうが、たとえば車みたいなものを作るには大きな工場や設備がいるし、それには大企業が必要となります。

*10:N◎VAの社会スキルで、購入判定もできるというのを想像してもらえれば、ちょっと近いかと

*11:p394

*12:以下の翻訳を含み、この日記のレビューを、『Eclipse Phase』のCreative Commons Licenseに従い、Creative Commons Attribution-NonCommercial-ShareAlike(http://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/3.0/)の条件で、配布するものです。(C)Posthuman Studios, LLC. http://eclipsephase.com