サイオニックとクトゥルフ神話(D&Dちょっといい話)
彼方の領域の邪神達
この日記でも書きましたが、D&D第四版の「サイオニックの書」では、サイオニック能力の持ち主は、“彼方の領域”からの邪悪な怪物、神格と戦う宿命を持っています。
D&Dとサイオニック - xenothの日記
異次元の邪神ということで、いわゆるクトゥルフ神話的な怪物達ですね。
これについて調べてみると、面白いことがわかりました。
マインドフレイヤーとクトーニアン
前回の日記で書いた通り、D&Dにサイオニック能力が一番最初に登場したのは、マインドフレイヤーというモンスターの記事でした。
そして、このマインドフレイヤーの起源について、ゲイリー・ガイギャックスが面白いことを述べているのです。
Morrus' Unofficial Tabletop RPG News
マインドフレイヤーは、ガイギャックスが自分の想像力で創りだしたオリジナル・モンスターですが、そのインスピレーションとなったのは、とあるペーパーバックの表紙、だそうです。
それがこれです。
http://www.amazon.com/gp/customer-media/product-gallery/B000LVG7CS/ref=cm_ciu_pdp_images_0?ie=UTF8&index=0
*リンク先にイラストあり。
ブライアン・ラムレイの「地を穿つ魔」、タイタス・クロウ・サーガの一巻です。翻訳も出ています。
- 作者: ブライアン・ラムレイ,夏来健次
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/01/11
- メディア: 文庫
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本作は、クトゥルフ神話に連なる作品のひとつであり、大地に潜み地震を起こすクトーニアンという種族を登場させました。
このクトーニアン達は、テレパシーで人間を精神的に束縛する力を持つ、サイオニック能力の持ち主です。
そもそもクトゥルフ神話の名の元となった、クトゥルフ神も、その覚醒と共に多くの人間の精神に影響を与え、悪夢を見せたり発狂させたりしました(こちらは意図的に操るというより、人間のほうが勝手に影響を受けるといった印象ですが)。
ゲイリー・ガイギャックスの記事には、表紙からインスピレーションを受けたとあるので、作中のクトーニアンの能力と関連付けて良いかはわかりませんが、D&Dに影響を与えた作家のひとりとしてラヴクラフトを挙げているガイギャックスのことですから、サイオニックの根っこに、クトゥルフやクトーニアンといった邪神による精神汚染の印象があった、とするのは、あながち外れではないでしょう。
そうした出自を踏まえて、サイオニック能力者達が、彼方の領域の邪神達と戦うという設定が新たにD&Dに付け加えられたわけです。
D&D黎明期の出自が、長い時を隔てて、帰ってきたと考えると、なかなか趣深い話ではありませんか。
この話、結構、有名みたいですが、私は知らなかったのでまとめてみました。